Q12:長くセントトーマスモアでヘッドコーチをされていますが、毎年どういうチームを目指して指導されていますか?
私が生徒達に期待していることは、一生懸命やることです。練習でもプレシーズンでもポストシーズンでも、同じようにプレーをすることを約束させます。私たちは毎試合10~12人の選手を起用するようにします。そのため生徒には常に準備をし、調子を整えておくことを要求しています。常に前向きであり、全員が一つのチームであることを理解し、お互い良い関係を作ってほしいのです。年間を通して選手にはチームメイト、家族、国、学校、そして自分自身を敬う気持ちを持ってほしいです。全力を尽くし、もし何か失敗してもすねることなくそれを乗り越えることを期待しています。そして、個人ではなくチームでやっていることを楽しんでほしいと思っています。バスケの世界では、全てのプロセスを楽しむ必要があります。試合だけ、練習だけを楽しむことはできないのです。自習時間も旅行も、良い時も悪い時も楽しめないといけません。私たちは勝つことだけを目標にはしていませんし、勝利を論じることもありません。選手の能力を最大限に発揮させること、そしてどんな人になれる可能性があるかを話し合ってきました。私は全ての生徒が上達することができると信じています。そうしてより良いチームができ、全てのゲームで勝てるチャンスをつかむことができるようになると思っています。生徒たちにもそれを信じてほしいです。それと同時にバスケットボールは楽しめなければゲームじゃないと思っています。そのため、私たちは楽しむことを学べるような状況を作らなければいけません。バスケットボールはゲームなのです。全てのゲームを楽しむべきです。
Q13:スラムダンク奨学金で、どんなバスケットボールプレーヤーに来てほしいですか?
この奨学金を受けるためには、学業面で良い成績を修め、そこそこの英語力を備えたプレーヤーである必要があると思います。そして第二に、才能のある若者です。アメリカのバスケはとても競争的です。私たちはスラムダンク奨学金が日本のバスケ界を盛り上げるツールの一つだと思っています。ここではより良いプレーヤーと接することができる機会があり、生徒にとってそれは良い経験となることだと思います。加えて一生懸命なプレーヤーが来ることを望んでいますが、ここでプレーすることを望むプレーヤーは、既に一生懸命なプレーヤーだと認識しています。なぜなら家や家族や友達を置き、自分の国を出て全く新しいバスケの世界に踏み込む意思があるからです。
ある程度の才能がある生徒が選ばれていると思いますが、私が今までコーチをする機会のあったケンジとユウタは、確実に大学レベルのプレーヤーでした。セントトーマスモアのチームには、毎年12~13人程の大学レベルのプレーヤーがいます。ここに来る日本人プレーヤーもそのレベルの能力があるプレーヤーを望んでおり、そのような生徒なら上手くやっていけると思います。しかしベストなのは、
a良い生徒である、
bある程度のコミュニケーションスキルがある、
c平均以上のバスケットボールスキルがあるプレーヤー
だと思います。
Q14:最後に、スラムダンク奨学金を通じて、アメリカに挑戦しようとする日本の高校生にメッセージをお願いします。
第一に、スラムダンク奨学金に応募する全ての生徒を私は尊敬しなければいけないと思っています。なぜなら、望んでリスクを負おうとしているからです。リスクを恐れない子供は大体成功します。もちろん選考に落ちる可能性もありますが、落ちるということは決して悪いことではありません。
また、生徒はここに来ることになったならば、チャレンジをする必要があること、そして苦しい時間を過ごすことになることを認識する必要があります。しかし同時に、セントトーマスモアはしっかり面倒を見ますし、生徒を思いやります。また教室では、生徒の潜在能力を最大限に発揮できるよう英語のサポートをするということ、そして、生徒がなりたいと思う理想のバスケットボールプレーヤーになれるよう手助けをするということも覚えておいて下さい。
この機会を検討するにあたり、スラムダンク奨学金はあなたに素晴らしい可能性を与えてくれたと考えるべきです。あなたはこの可能性に迷うことなく挑戦し、楽しむべきです。そして、私は日本の全ての優秀なプレーヤーがこの素晴らしい機会を検討してみるべきだと思います。なぜならアメリカのバスケは、確実に世界の中でも最高峰だからです。また過去30数年間、セントトーマスモアはきついプログラムだと考えられてきたように思います。したがって、ここに来る生徒はとても良いプレーヤー、とても良い生徒になれると考えます。NCAA大学レベルへと成長していくことができると思います。そして、とても素晴らしい経験を得られる機会になることでしょう。
ジェリィ・クイン(Jere Quinn)
セントトーマスモアでのヘッドコーチ歴は38年以上となります。
プレイヤーとしてはセントラルコネチカット州立大学でキャプテンを務め、同大学の通算アシスト数で歴代1位の記録を収めています。
これまで、300人以上のバスケットボール選手をアメリカの大学バスケットボール部へ進学させ、うち250人超が奨学金を獲得しています。
アメリカの大学バスケ部に選手を送り込んでいる数は現役の全米の高校、プレップスクールの中で最多となります。
アメリカのプレップスクールで一番長いコーチ歴を持っており、夏休みには25年以上、バスケットボールキャンプでコーチを行い、世界中でクリニックを開いています。